匡忠

元ランブルバースト(サービス終了)の何か 今は趣味の何か

打ち上げ花火、下から見るか横から見るか 感想

ランブルバーストが来週でサービス終了なので映画の感想を書きます(唐突)

www.uchiagehanabi.jp

まあツイッターである程度吠えたりしたんですが、ざっくり細かいまとめ的な話です。

細かい話はいい、という現代っ子向けに短い感想を書くと、

シャフトが好きな人は見に行けばいいと思った。まる。

うーん、ダメだなこれだけだと。

この映画がネットでちょっとアレなのは、君の名は。と同じ川村元気プロデューサーとシャフトっていう否が応でも期待値の高い座組みにある。君の名は。から一年が経過して、世の中は新しい感動できるアニメ映画を欲してた。ポッピンQとか眠り姫とかいろいろあったけど夏に出る、川村元気の映画、期待しちゃうよね?!

タイミング的にも君の名は。のDVD版が出てそろそろ1か月くらいというところなのも、期待に応えられる映画ならば、よかったのかなと思います。

誰かの理想の青春にあるIF

映像美はシャフトらしさが出てて、結構いいんですよね。なづなちゃんの、ミニスカートの白いワンピースの少女、しかも海岸沿いのおまけつきという、男子諸君なら一度はあこがれる青春の一ページのアイコンとしてヒロインを描いているんですよね。
で、この思い出に対して、無数のIFを重ねていった先に何が見えるか、ある意味時をかける少女のような要素をはらんでいきます。ただ、今回はその手法が若干特殊であり、とくにヒロインのお父さんが事故の時に握っていたガラス玉(と同じようなもの)を媒介としている点です。
これは一つの推測が成り立つのですが、おそらくヒロインの2番目のお父さんは何かしらのIFを繰り返していたんだと思います。おそらくは自分が死んでしまうような事故から、娘や妻を護るために何度も繰り返し、結果的に自身を犠牲にする選択肢を選んだのでは、というのが成り立つかなと思います。
二番目のお父さんが亡くなったくだりがすごく省略されていてあのワンカットだけだったんですが、例えばヒロインが一緒に船に乗っていたらどうだったんだろうとか、お父さんがお母さんに遺した言葉は何だったんだろうとか繰り返して鑑賞する価値のある部分はそこにあるかなと思います。とても難解ではありますが、そこを見ると、おそらくあのお母さんが血相を変え、本当に必死にヒロインを追いかけていた事はつじつまの合う話で、お母さんは決してあなたを見捨ててはいないし軽んじていないんだよと。
ヒロインがお母さんから聞いて覚えたという歌にはそれが込められているように感じました。

 

バッドエンドはオヤジだけか
父親世代が自分のストーリーのバッドエンドというのは君のは。と同じだったと思うんですが、もう少しここをクローズアップしてほしいと感じた。日経MJの記事によると、マスコミ向け試写会のときに(7月?)、実はほとんど色がついていなかったそうですが。

ameblo.jp

日経MJにもこの記事が載っていたので引用させていただきました。シャフトならまあありそうかなとは思いますが。とはいえ最初の絵コンテの部分で大体どれくらいの話にするとか決めておく筈で、基本的に何分で話を作るってのはあるので、その通りに作った可能性もあります。

しかしシャフトはネギま!?の映画版につながる、ODA魔法世界編大バッサリ事件の首謀者にして主犯なので(まだ許せない)、個人的に言えばまあ色々削ったのかなという感想も同時に抱かざるを得ませんでした。実際色ついてないって紙面で読んだときに「ありそう」とは思いました。

ヒロインの想い出のエロス

なづながエロイというのはこの作品の楽しみ方としてはとても正しいです。全体的に童貞だった男子諸君に捧げる、若いころの思い出的な作品に近く、風が吹いたときにスカートがふわっと捲れたりする時の色気とか、しゅるしゅると浴衣を着替えるときの音を壁越しに聞いて、「今どうなってるんだろう……」と妄想してしまうとか。

個人的にはあれくらいの年頃の女の子が前かがみになったときに、無防備にさらす胸の谷間とか、風が吹いたときに見えるわけないのにスカートが揺れるだけで視線が走ったりとか。そういうのを思い出します。そういうところで、男子は今までのクラスメイトを「女性」としてみるようになります。この映画でもそれが、ふんだんに盛り込まれています。たぶん男子にしかわからない。

君の名は。が日本人ならだれもが感じる郷愁を喚起しているなら、「打ち上げ花火」が喚起するのは青春のそこはかとないエロスに対する郷愁だと思います。

後半のあの海のシーンとか「はよ脱げよ、いやちょっとずつ脱げよ」という謎の欲求にかられました。

打ち上げ花火、観に行くべきか。

映画館にシャフトが描いた想い出のエロいヒロインがいる、それで満足できる人は見に行くべきかと思います。こう、単純に感動ストーリーを期待する、つまり映画に関心のなさそうな、ダウンタウン松本人志さんの言葉を借りれば「不細工なOLを巻き込んだ」作品ではないため、そういった方は過度な期待を抱かないでほしい。こういっては身もふたもないのですが、あまりヒットは狙えないのかなと思いました。

君の名は。より2分短い映画だったんですが、ちゃんとストーリーを追える人でも、やっぱ尺足りねえよなアって感じる映画だったように思います。

個人的に、君の名は。もあと5分くらいほしいと思ってる派なので、ちょっと私がいろいろアニメ映画に説明的部分を求めすぎているせいもあるとは思いますが。エヴァでいろいろトラウマを植え付けられたせいだと思います。公式が余りに何言わな過ぎて不安すぎるという。あれはとてもしんどい。

それでお前はもう一度観に行くのか?と聞かれると、あまり自信がありません。元より記憶力はいいほうなのでシン・ゴジラ君の名は。も一回見ただけでDVDとか持ってなくても今でも内容はしっかり覚えていますし、誰がどこでしゃべってたとかも結構覚えているタイプなので、よほど引っかかる部分が無いともう一度観に行くことはないと思います。ちなみに私が二回見た映画は、まどマギ劇場版と、エヴァです。エヴァQは封切り初日に二回続けてみた。察してほしい

 エンディングに関しては個人的にはとても上手にまとまってると思っているのですが、若干難解なうえ、明確な描写がされていないため、あれで評価を下げる人は多いと思います。

ヒロインの名前は点呼されていないのに主人公の名前は呼ばれた、ことを起点に、その直前で、あの世界から現実に戻るシーンで主人公が手にしたガラスの欠片を思い出すと、何かつながるんじゃないかなと思います。

 

それではまた、ランブルバーストが終了した後くらいに。